当院は私の父である原三千丸が平成10年に開業し、海田町で25年間診療を行ってまいりました。このたび私、原 圭一が承継することになりました。父が原小児科で診療していた25年間、私は大学を卒業し、大学病院、地域の病院で診療を、平成19年から再び大学病院に戻って診療と研究、平成24年から国立病院機構呉医療センターで小児科診療を行ってまいりました。勤務医として働く中で、いろんなことを教えられました。
一つは、子育ての大変さ。共働きが普通の時代となっても、それをサポートする仕組みは不完全です。でも「大変なこと」と「不幸であること」とは全然関係ない ということを、重い病気を抱えた子どもさんを持つ親御さんから教わりました。
二つ目は、設備や人員が大病院にはとてもかなわない、地域の開業医にも、やるべきことがまだまだたくさんあるということ。子どもの病気の多くは感染症で、実は医療が子どもたちの回復に関与している部分はごくわずかです。しかし、情報は十分すぎるほど身の回りにあります。それで、「もっとこうしなければ、もっと頑張らなければ。」と、追いつめられるばかりかもしれません。誰も「わかるよ、よく頑張っているね」と言ってくれる人はいません。
子どもの病気の多くは数日で、あるいは時間をかけながらも、回復します。しかしその間、あれやこれやと、悪い想像をしてしまいます。それは親の愛だと思います。しかし、「痛み(=心配)」のほとんどは、しっかり説明を受ければ減らすことはできます。それが私たち医療者にできる部分です。私は決して優秀な医師ではありませんが、この説明という部分について、いまだ不完全ではありますが、工夫を重ねてきたつもりです。涙を浮かべていたおうちのかたが、「安心した!」と帰って行かれる姿を見て、私自身が癒される経験を何度もしました。
「ところが、イエスは彼らに言われた。『わたしには、あなたがたが知らない食べ物があります。』(ヨハネ福音書第4章32節)。皆さんも、子どもが元気になった姿を見て、眠れずに看病した疲れを忘れてしまうことがあったのではないでしょうか。
子どもたちは成長し、いつか巣立っていきますが、一緒にこの喜びを味わうことができたらと思います。よろしくお願い申し上げます。
原小児科
院長 原 圭一
略歴
平成4年 | 広島大学付属高等学校 |
平成12年 | 和歌山県立医科大学医学部卒業 |
平成12年 | 広島大学小児科入局 |
平成13年 | 呉共済病院小児科 |
平成16年 | 市立三次中央病院小児科 |
平成19年 | 広島大学病院小児科 |
平成24年 | 国立病院機構呉医療センター小児科 |
平成26年 | 国立病院機構呉医療センター附属呉看護学校講師(併任) |
平成27年 | 国立病院機構呉医療センター小児科医長 |
平成28年 | 広島大学大学院医歯薬総合研究科博士課程卒業 |
令和2年 | 呉医療センター臨床研究部先天代謝異常症研究室長(併任) |
令和5年 | 原小児科院長 |
免許・資格など
- 医師免許 407478号
- 医学博士
- 日本小児科学会認定医・専門医
- 認定小児科指導医出生前コンサルト小児科医
- 難病指定医
- 小児慢性特定疾病指定医
- 身体障碍者福祉法第15条指定医師
所属学会
- 日本小児科学会
- 小児内分泌学会
- 日本マススクリーニング学会
- 先天代謝異常学会